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Rh50糖蛋白は、Rhnull血球において完全に欠損し、また、赤血球膜上の分子数はRh蛋白とほぼ同等であることなどから、Rhnull遺伝子の主要な候補遺伝子産物と予想されていた。そのcDNAはRidgwellら9)によってcloningされたが、Cherif−Zaharら3)はその情報をもとに、regulator typeのRhnull4例およびRhmod1例におけるRH50遺伝子の解析を行い、RH50遺伝子に3種類の変異を見いだし、RH50がRhnullのregulator遺伝子である可能性をさらに強く示唆した。
今回、報告者らは、regulator typeの日本人Rhnull発端者においての、RHD、RHCE、RH50糖蛋白のcDNA解析を試みた。その結果、RHDおよびRHCEのcDNAには変異には認められなかった。Rh50糖蛋白遺伝子に新たな変異を見いだしたので報告する。
一方、Rhnull発端者のRH50 cDNAはコントロールに比べ明らかに短く増幅された(図8)。そのシークエンス解析の結果、945から1066番までの122bp塩基の欠失が見いだされた。この欠失はフレームシフトをもたらし、それ以後のアミノ酸配列は異なった配列となり、さらにストップコドンの早期出現も生ずると予想された(図9)。一方、EcoRI消化したゲノムDNAのSouthernブロットでは、Rhnull発端者のRH50遺伝子には大きな欠損は存在しないと考えられた(図10)。

 

 

 

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